特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
7.内分泌・代謝疾患
SIADH
齊藤 寿一
1
Toshikazu SAITO
1
1自治医科大学内分泌代謝科
pp.512-513
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903936
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基本的な事項
下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(ADH)は,正常状態では大量の水負荷などによる血清ナトリウム濃度低下に呼応して分泌が抑制される.その結果,腎集合尿細管における水再吸収は抑制され,水利尿が増強し,血液の希釈状態は矯正され,低ナトリウム血症の出現は抑止される.SIADHは原疾患(表)に由来するADHの分泌亢進の結果,相対的な水過剰が持続した病態である.肺小細胞癌などの悪性腫瘍による異所性ADH産生に由来するものと,中枢神経系疾患や胸腔内疾患に合併して下垂体後葉からの内因性ADH分泌が亢進したものに二大別される.SIADHの治療はまず原疾患の治療が考慮されることとなるが,同時に低ナトリウム血症に由来する神経症状を中心とした全身状態の悪化の改善に向けられることとなる.輸液,とりわけ水の投与量を制限し,これと同時に薬物治療が行われる.
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