今月の主題 内分泌疾患—今日の知識
診断のすすめ方
SIADH
斉藤 寿一
1
Toshikazu SAITO
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.20-21
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217573
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臨床的にSIADH(syndrome of inappropriate ADH)が疑われるのは,ほとんどの場合低ナトリウム血症の発見が出発点となる.日常の検査において血清ナトリウム低下がみとめられるほかに,患者の倦怠感または傾眠などの症状が前駆する場合もある.SIADHの低ナトリウム血症は,治療を加えなければ数日以上の持続を示すのが普通であり,再検によりこれを確認することもできる.
一方,SIADHを来たしやすい疾患1),すなわち肺未分化細胞癌,肺炎,髄膜炎,クモ膜下出血,ギランバレー症候群,急性ポルフィリアあるいはビンクリスチン使用の各症例においては,現時点でSIADHが存在しなくても,疾患の経過中にSIADHが発症する可能性を想定して,血清ナトリウムの頻回測定を行う必要もある.
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