特集 薬物療法マニュアル
Ⅱ.検査・処置・内視鏡的治療に伴う薬物療法
4.下部消化管
EMR(内視鏡的粘膜切除術),ポリペクトミー
工藤 進英
1
,
田村 知之
1
,
為我井 芳郎
1
,
山野 泰穂
1
,
今井 靖
1
Shinei KUDO
1
1秋田赤十字病院胃腸センター
pp.121-122
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903797
- 有料閲覧
- 文献概要
大腸内視鏡検査に伴う薬物療法
1.前処置
以前は注腸X線検査に準じてBrown変法が用いられていたが,近年は経口洗腸液としてポリエチレングリコール(以下,PEG)(ニフレック®)2lを用いる方法が一般的である1,2).この方法は,①便秘のない患者では前日の食事制限を必要としない,②腸管内の固形残渣が従来の方法に比べ非常に少なく精度の高い検査が行える,③腸管とスコープの滑りがよく内視鏡挿入がやりやすい,などの利点がある.一方,習慣性便秘のある患者では検査前日就寝前にラキソベロン®5〜10mlまたはプルセニド®2〜4錠の投与を行うべきである.それでも前処置が不良の場合はPEG 1l程度を追加飲用させる.また微温湯による洗腸を必要とする場合もある.PEGによる前処置の副作用として嘔気,腹痛,冷感などがみられるがいずれも軽微な場合が多く,飲用時間を調節するだけで問題ない場合が多い.しかし注意すべき副作用としてマロリーワイス症候群や虚血性腸炎を惹起する場合が報告されている.また最近では,前日を検査食とすることでPEGの飲用量を減らす試みもなされている3).PEG飲用の絶対的禁忌は腸閉塞,相対的禁忌は虚血性腸炎である.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.