特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
4.食道手術
食道抜去術
川原 英之
1
,
井上 聡
1
,
須田 泰史
1
,
河地 茂行
1
,
櫻井 孝志
1
,
山本 貴章
1
1川崎市立井田病院外科
pp.73-77
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902451
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食道抜去術は良性疾患,悪性疾患のどちらにも行われる.本術式は開胸下に施行される食道切除に比べ呼吸,循環系におよぼす侵襲が少なく,術後の回復が速やかである.食道抜去の方法には用指的食道抜去法と翻転抜去法があり,対象となる疾患や食道壁の状態などにより使い分ける必要がある.早期食道癌症例では一般的に全身状態が良好な場合が多く術前の全身管理面での問題点はほとんどないが,高齢者やpoor risk症例など開胸を避ける目的で本術式を選択する場合には,慎重な術前管理が必要となる.本術式は一部に盲目的剥離操作が行われるため,出血や気管損傷,反回神経麻痺などの合併症を併発することが決して少なくないため,これら合併症についても術前に十分なインフォームドコンセントを得ておく必要がある.
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