特集 術後1週間の患者管理
Ⅰ.術式別:術後1週間の患者管理
4.食道手術
食道抜去術
山名 秀明
1
,
田中 寿明
1
,
疋田 茂樹
1
,
吉田 祥吾
1
,
藤田 博正
1
,
岩本 元一
1
1久留米大学医学部第1外科
pp.75-80
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902023
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わが国における食道抜去術の適応は,表層拡大型早期癌や多数の病巣を有する多発早期癌である.本術式は開胸術を施行しないため呼吸・循環系に及ぼす侵襲が少なく,右開胸開腹下に施行される食道癌根治手術と比べて術後管理上の問題となる事項はほとんどない.しかし,手術侵襲の小さいことから本術式は高齢者やpoor risk例に施行される頻度が高く,このような患者の術後管理には注意を要する.本手術は食道周囲を盲目的に剥離するため,気道系にかかる負担は決して少なくなく,また反回神経が損傷されたり,挙上胃管の血流障害など思わぬ合併症を併発することもあり,術後の病態を十分に把握する必要がある.特に重要なポイントは,術直後から第1病日にかけての呼吸・循環管理であり,この時期の管理に習熟する必要がある.
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