シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・8
早期大腸癌に対する縮小手術の理論と実際—②経肛門的局所切除
寺本 龍生
1
,
渡邊 昌彦
1
,
西堀 英樹
1
,
酒井 信行
1
,
藤井 俊哉
1
,
北島 政樹
1
Tatsuo TERAMOTO
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.897-901
発行日 1996年7月20日
Published Date 1996/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902350
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はじめに
大腸癌の組織型は高・中分化腺癌がそのほとんどを占めており,比較的限局性に発育する傾向があり,外科的切除により長期生存を期待し得る癌のひとつである.したがって癌が粘膜内(m癌),あるいは粘膜下(sm癌)に限局した早期癌においてはその病態,病期を的確に把握し,術後のQOLを考慮した縮小手術の選択がとくに望まれる.直腸は解剖学的に肛門,尿,生殖器と密接した位置関係にあるため直腸切除の結果,自然肛門の犠牲,自律神経の損傷による排尿・性機能障害をきたしやすい.本稿では教室の直腸早期癌に対するQOLを指向した治療方針とその根拠,成績について述べる.
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