シリーズ 早期癌を見直す・1 早期胃癌・4
早期胃癌の縮小手術の理論と実際—縮小手術の目指すもの
小玉 雅志
1
,
小山 研二
1
Masashi KODAMA
1
,
Kenij KOYAMA
1
1秋田大学医学部第1外科
pp.1057-1063
発行日 1995年8月20日
Published Date 1995/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901949
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はじめに
早期胃癌患者は,早期に発見されたという理由で,長期生存と良好な術後状態という両方の利点を亨受できてよいはずである.かつて,早期胃癌に対しては,2群リンパ節郭清を伴う非癌部組織の広範な切除を行うのが一般的であった1,2).しかし,これまでの多数の症例の蓄積とその分析から,どのような胃癌がリンパ節転移を有するか,再発しやすいか3,4),を知ることが比較的容易になった現在,根治性を損なわないかぎり,進行程度や占居部位に応じて術後状態の向上を目指した術式を工夫,適用するべきである.
早期胃癌に対する縮小手術の利点は,(1)標準術式で廃絶される機能が温存され,術後後遺症が減少する,(2)手術侵襲(時間,出血量など)が小さく,合併症が少なく,術後の回復が早い,の2点に集約される.表1に現在行われている縮小手術を示したが,縮小手術と機能温存とは必ずしも一致せず,切除量の多寡,胃のどの部位を切除するか,あるいは温存するかによってその利点が大きく左右される.
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