シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・7
早期大腸癌に対する縮小手術の理論と実際—①腹腔鏡下大腸切除術
渡邊 昌彦
1
,
大上 正裕
1
,
寺本 龍生
1
,
北島 政樹
1
Masahiko WATANABE
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.647-652
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902302
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はじめに
近年,腹腔鏡下胆嚢摘出術の急速な普及にともない,腹腔鏡下手術が注目されるようになった.われわれは胆嚢摘出術をはじめ,各種の消化器疾患に対し腹腔鏡下手術をこれまで積極的に導入してきた1).腹腔鏡下手術は通常の開腹手術に比べ,術後疼痛も軽微で腸蠕動も早くから得られ早期の退院が可能であるなどさまざまな利点がある.
一方,診断技術の向上により早期大腸癌の発見率は年々増加している.教室の成績から,m癌にはリンパ節転移を認めないため内視鏡的切除で根治性が得られると考えている.しかし,m癌でも病変の位置や大きさによっては,内視鏡的切除が困難であるため開腹される症例も少なくない.さらに,内視鏡的切除の後に同一部位に再発をきたしたものは,再切除は困難である.また,sm癌の治療においては粘膜下層のわずかな浸潤しか認められないもの(sm1))はm癌と同様に扱い,sm層に高度に浸潤するもの(sm2-3))はリンパ節転移の可能性もあり,郭清をともなう根治手術を行ってきた.
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