特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール
Ⅱ.胃癌治療のプロトコール
(4)癌研究会附属病院外科
太田 惠一朗
1
,
中島 聰総
1
,
大山 繁和
1
,
石原 省
1
,
西 満正
1
Keiichiro OHTA
1
1癌研究会附属病院外科
pp.64-72
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901672
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胃癌治療の原則は根治手術である.根治手術とは,ある程度進行した癌に対しても完全治癒を目指して,原発巣を除去し広範囲のリンパ節を郭清することを意味している.今日,胃癌の治療の対象は,約半数が早期胃癌となっている.早期胃癌は約9割が根治,すなわち完治できるのが現状である.しかし,一方で,極度に進行した症例に出会うこともまれならずある.
外科手術手技が進歩し,周術期管理の発展に伴い,胃癌に対しては徹底した拡大根治術が可能となり,術式自体は完成されたといって過言ではない.これからは,根治性,安全性,軽愁訴,機能温存などを十分に考慮して,個々の症例の進行程度に応じた,不十分でもやりすぎでもない“適正手術”を行っていかなければならない(図1)1).そのためには,癌の部位,肉眼癌型,組織型,癌の広がり,深達度,壁外進展などを正確に把握し,全身所見の十分な理解が必要である.
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