新・病院建築・25
癌研究会附属病院の建築史
大場 則夫
1
,
小室 克夫
2
1共同建築設計事務所
2筑波大学大学院
pp.73-79
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207068
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はじめに
癌研究会の附属病院の最近の増築内容を報告するに当たって,編集の方から特に記録的にという注文がついた.たしかに,癌研の場合戦後だけでも数次の増改築を繰り返しているので,これを詳細にたどれば,病院建築の変化という意味で面白いかもしれない.あるいは,ひと頃喧伝されたキャッチフレーズの「成長と変化」の我が国での1事例であるかもしれない.ただし,そのような意味で研究の対象となり得るためには,各増改築に際しての時代的背景とか開設者の主体的な意図とかがかなり実証的に明らかにされていることが必要だと考えられるが,本稿では,そのことはある程度意識はしたが,必ずしもそこに手が届いたわけではない.
更にはまた,癌研究会の附属病院という具体的特殊例を報告するに当たって,その具体性,したがって特殊性を報告しなければ事柄の意味が明らかでなく,その意味が分かったところで一般的な理解にどれ程役立つかといった疑問はなくならない.以上のことをお断りした上で,一関係者の証言を綴ることにする.
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