特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール
Ⅱ.胃癌治療のプロトコール
(3)大阪府立成人病センター外科
古河 洋
1
,
平塚 正弘
1
,
岩永 剛
1
,
今岡 真義
1
,
亀山 雅男
1
,
中森 正二
1
Hiroshi FURUKAWA
1
1大阪府立成人病センター外科
pp.58-63
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901671
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胃癌の外科的治療成績が向上してきたのは早期胃癌の診断に負うところが大きく,進行度別の治療成績はゆるやかな向上,または不変といったところである.このような状況を打開するために,まずStage Ⅳ(胃癌取扱い規約第11版)には術前化学療法や術中抗癌剤腹腔内投与などを試み,Stage Ⅱ-Ⅲに対しては,より有効な併用療法を行っている.手術法においても,スキルス胃癌に対する拡大手術(左上腹内臓全摘術)をはじめ,進行胃癌に対する拡大リンパ節郭清(D3-4)を積極的に行っている.
一方,早期胃癌に対しては,すでに2,000例近くの経験から,転移がまずないと思われる症例を選び出し,内視鏡切除を行っている.また,内視鏡切除が困難,あるいは適応外の早期胃癌に対しては外科的縮小手術を行っている.
このように,ほぼすべての胃癌症例に対し,何らかの試みが行われており,その臨床面での複雑さとともに,新しい時代にマッチした,患者に対する適切なインフォームド・コンセントが必要になっている.私たちの施設における胃癌治療に対する考え方を示すとともに,患者に対する情報の開示についての努力も述べたい.
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