特集 Dos & Don'ts外来の小外科
Ⅱ.頸・肩
4.気道内異物
鳥山 稔
1
1国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.84-85
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901311
- 有料閲覧
- 文献概要
気道内異物は,その異物のある部位によって,救急度,生命への危険度はまったく異なる.鼻腔内であれば,急性の鼻炎,副鼻腔炎を起こすが,ネラトンチューブなどで口腔内に落とせばよい.しかし,声門下より気管・気管支異物となると,少なくとも基礎麻酔の必要な局所麻酔下,または全身麻酔下に摘出しなければならなく,1人の医師だけでは(看護婦,看護助手なしでは)困難である.都内ではこの10年間は減少しているが,特に3歳以下の子供にはピーナッツを食べさせてはならないという言葉が耳鼻科医のモットーとなっているくらい,ピーナッツ,豆類の気管内異物は生命に危険であり,また術者も慎重に扱わなければならない.これはピーナッツが粘液を吸収して膨大し,気道を閉塞して無気肺を起こしたり,肺炎を合併し,またこの破片の位置が移動して,他肺野にまでこうした病変を拡大し,重篤な症状を起こすからである.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.