特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
d.開腹術後の合併症
麻痺性イレウス
小西 文雄
1
,
斎藤 幸夫
1
,
宇賀神 浩人
1
,
金澤 暁太郎
1
1自治医科大学消化器・一般外科
pp.232-233
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900630
- 有料閲覧
- 文献概要
■問題点の解説■
開腹手術後には,消化管の蠕動運動が一時的に減弱ないし消失し,腸管内にガスや腸内容が貯留する.このため,腹部は軽度に膨隆し排ガスや排便が停止する.このような状態は,“生理的イレウス(physiologic ileus)”と呼ばれ,開腹手術後には必ずみられるものである.通常,このような開腹術後の腸管麻痺は48〜72時間続いたのち軽快する.すなわち,やがて腸管の蠕動音が聴取されて腸管麻痺は次第に改善され,軽い腹痛を伴った後に排ガスが認められる.このような通常の術後の経過とは異なり,腸管麻痺の状態が遷延して麻痺性イレウスとなることがある.いったん麻痺性イレウスに陥ると難治性であることが少なからずある.このような場合には,麻痺性イレウスを来している原因を検索し,適切な処置をとる必要がある.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.