特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
感染性心内膜炎
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南雲 正士
1
,
相馬 康宏
1
,
井上 正
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.1612-1613
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900284
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感染性心内膜炎に関する保存的治療の適応と限界について,内科から山崎氏,外科から川副氏の論文を拝見し,本症の病態と治療を考える上で大いに参考になった.山崎氏の報告した2症例は,感染活動期の内科的治療に抵抗性の心不全,心エコー検査での疣贅と重症僧帽弁逆流を手術適応としている.また,川副氏は,感染性心内膜炎の病態と治療法の選択をきわめて明瞭に図示している.われわれも両氏にほぼ同感であるが,従来より関心を持っている問題であるので,教室での手術経験例をもとに,内科治療の限界と外科治療の適応について考えてみたい.
教室での過去10年間の感染性心内膜炎に対する手術例は延べ39例である.このうち,natural valveendocarditis(以下NVE)は33例で,心内パッチ感染1例を含めたprosthetic valve endocarditis(以下PVE)は6例であった.手術死亡は,NVEの2例(6%),PVEの3例(50%)でPVEの手術成績は不良であった.NVEとPVEでは,その病態,内科治療の限界,手術適応など種々異なる点がある.そこで,主としてNVEについて考えてみる.
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