特集 がんの集学的治療をどうするか
食道癌
コメント
掛川 暉夫
1
Teruo KAKEGAWA
1
1久留米大学医学部第1外科
pp.167-169
発行日 1984年2月20日
Published Date 1984/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208548
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
食道癌治療に対して集学的治療が如何に大切であるか,また特に予防的集学治療が重要であるか.そして如何なる手段によりその効果をよりよくすべきであるか,さらにはその具体的手段にまで言及した磯野氏の論文に全面的に賛意を表わすとともに,その努力に深い感銘を受けた次第である.しかし食道癌の治療に関しては現在,治療の主体となつている外科治療を含め集学的治療は多種多様であり,定説はない.永年この分野に従事しているものの一人としてささやかな私見を含め,治療上の問題点をあげ,最大公約数的な見地より効果が挙げられていると思われる治療法を述べることによりコメントに代えさせて貰う.
食道癌の切除剖検例約100例の再発形式に関するわれわれの検討によると,リンパ節転移によるものが最も多く,次いで局所再発(外膜遺残),血行性転移,胸腹膜播種,断端遺残の順であつた.したがつて食道癌の治療成績を向上させるためにはまずリンパ節転移,次いで局所再発に対する対策が重要となり,集学的治療もまずこれらが対象とされることは周知のところである.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.