特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
自然気胸
外科から
大畑 正昭
1
1日本大学医学部第2外科
pp.1615-1620
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900285
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
自然気胸は原発性気胸と続発性気胸に分けられ,前者は限局性の胸膜直下気腫性肺嚢胞に関連して起こることが一般に認められている.一方,続発性気胸の原因は原疾患によって多彩である1).いずれにしても,肺胸膜の破綻によって空気が肺実質から胸腔内に漏出することで気胸が発生することには変わりはない.したがって,気胸の治療の本質は,気漏を閉鎖して肺を膨張させ,しかも再発を防止することにある.その両者を満たす治療手段が気胸の根治的治療法であり,現在のところ開胸手術が選択される.しかし,合併疾患や機能的,年齢的要因などによって手術が好ましくない症例も多いし,いわゆる保存的治療によって半数の症例は再発をみないことから,自然気胸の治療は個々の症例でもっとも適した治療法を選択すべきであろう.その意味において,外科の立場から自然気胸に対する保存的治療法の役割と限界について論じてみたい.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.