特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
癒着性イレウス
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島津 久明
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.1398-1400
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900231
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一般に,機械的イレウスは単純性イレウスと絞扼性イレウスに大別される.癒着性イレウスの大多数は単純性イレウスであるが,一部に絞扼性のものも含まれる.本増刊号の主題は「保存的治療の適応と限界」であるが,癒着性イレウスの場合,適応に関しては,まず異論がない.すなわち,単純性癒着性イレウスであれば,全例にまず保存的治療を試みるのが原則であり,その成功率も高い.しかし一部には,これによってなかなか改善が得られないために,やむなく外科的治療が行われることもある.これに対して,絞扼性イレウスであることが強く疑われれば,早急に外科的治療を実施すべきであり,その遅れは高率に死の転帰に導く危険性を秘めている.そこで問題は,恩田・細田両教授が指摘されているように,まず第一に単純性イレウスと絞扼性イレウスの鑑別診断を的確に行うことである.第二には単純性イレウスであることが明らかになった場合に,保存的治療の限界をどのように判断し,どのような時点で外科的治療の実施を決定すべきかが重大な問題になる.さらに,再発性癒着性イレウスに対する手術適応の問題がある.以下に,これらの点について私見を混えて述べることにしたい.
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