手術器具・手術材料—私のこだわり・18
超音波凝固切開装置による腹腔鏡下大腸癌手術
植村 守
1
Mamoru UEMURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.870-873
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214190
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はじめに
骨盤外科領域においても急速に腹腔鏡下手術が普及し,微細解剖の認識などにより精度の高い手術が可能となってきた.手術手技の進歩はエネルギーデバイスの発達とともにあり,その効率良い利用が手術完成度の向上につながると考えられる.実際の手術では,電気メス,超音波凝固切開装置,アドバンスドバイポーラなど様々なエネルギーデバイスが術操作に使用されるが,エネルギーデバイスの特徴を理解し適切に使用することは,安全で確実な手術を施行するには不可欠な要素となる.
大腸癌手術においては,腫瘍周囲の腸管を取り巻く腸間膜を損傷することなく確実に切除することが必要である.つまり,結腸癌では全結腸間膜切除(complete mesocolic excision:CME)1),直腸癌では直腸間膜全切除(total mesorectal excision:TME)2)が重要で,これは万国共通の概念ともいえる.また,下部進行直腸癌手術の際に必要となる側方リンパ節郭清などでは,閉鎖神経,内腸骨動静脈などを露出し,これを温存しつつリンパ節を含む脂肪組織を切除する手技が必要であり,温存すべき血管や神経の周囲では繊細で正確な操作が必要となる.
われわれのグループでは腹腔鏡下大腸癌手術において,上記のすべての操作を超音波凝固切開装置にて施行している.本稿では,超音波凝固切開装置について概説しつつ,実際の手術での使用法について説明する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年7月末まで)。
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