連載 最新の手術器械を使いこなす・2
超音波凝固切開装置
森田 峰人
1
,
渡辺 慎一郎
1
,
浅川 恭行
1
,
中熊 正仁
1
,
久保 春海
1
1東邦大学医学部第1産科婦人科学教室
pp.788-793
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904667
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はじめに
手術は,「切る」,「はさむ」,「剥離する」,「結紮する」,「縫合する」,「止血する」の6つの基本的操作から成り立っており,いかなる複雑な手術であっても,結局,基本的にはこれらの基本手技の組み合わせで行われる.腹腔鏡下手術では,これらの基本的な手技の中で,結紮,縫合,止血の3者は,開腹手術に比べると困難で時間を要する手技である.特に止血に関しては,従来から出血させない手術と迅速な止血が望まれ,そのためにさまざまな止血法が実施されてきた.焼灼による止血,結紮による止血,クリップによる止血,電気メスによる凝固止血,レーザーによる止血,マイクロウェーブによる凝固止血,種々の止血剤による止血などが従来から用いられてきたが,腹腔鏡下手術ではクリップや電気メスが多用されてきた.
本稿で取り上げる超音波凝固切開装置(ハーモニックスカルペル:ジョンソン・エンド・ジョンソン社:以下,HS)は,これまでの手術の概念を大きく覆すもので,軟組織の凝固と切開を同時にかつ低温で行うことができ,周辺組織への損傷が他のエネルギー形態を使用した手術装置よりも少ないことが特徴である.本稿ではHSの構造や基本原理から実際の使用までを解説する.
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