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2020年はコロナ禍で散々な一年であった.思い起こせば年始の1月2日,パンデミック勃発の前夜,「新年の初挑戦」は,東京世田谷の自宅から箱根芦ノ湖まで113 kmのロングライド・サイクリングであった.自分的にはかなり思い切った50代最後の挑戦であったが,終盤の標高894 m芦ノ湖へのヒルクライムでは,極度の疲労によりあえなく“足つき”挫折,最後の4 kmはどうにもペダルを踏む力を失い,手押しバイクでやっと元箱根に到着したのであった.この顛末をどう捉えるべきか? 目的地に到達したという意味では成功であるが,手押しで到着というのは美しさに欠ける.翌月2月に還暦を迎えるに当たり,引っ込みが付かない私は「再挑戦」を誓ったのであった.
まずは安易な対策として,愛車ビアンキの改造から手を付けた.ロードバイクのメカを勉強すれにつれ,一流バイクと信じていた愛車が単なる中級エントリーモデルであることが判明,諸兄と同様に「改造沼」にハマったのであった.「鉄下駄」と称される鈍重ホイールはイタリア製シャマルウルトラに交換,サドル,シートポスト,ハンドルは費用節約のため中華カーボンに,クランクとペダルは信頼のシマノ・アルテグラに交換,さらに今はやりのパワーメーター4iiiiを装着した.「軽さは正義」と称されるヒルクライム・バイクは車重7.5 kg以下が常識のこの世界,当初のマイ・バイクは醜くも9.5 kgであったが,涙ぐましい大改造の末,車重7.4 kgまで落とすことに成功した.「そんなに自転車を改造する前に体を鍛えたら」という家族からの冷静な指摘を受け入れ,週末はランニングとロングライド,コロナ禍故に出張や会食は全くなく,実行し得た1年であった.
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