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大阪労災病院は,西に堺臨海工業地帯,東に生駒・金剛の連山を望んだ,大和川南方に位置する堺市にあります.このあたりは摂津,河内,和泉の三つの国境に発達した都市というところから「さかい」と呼ばれるようになったとのことです.堺には4〜5世紀の大和朝廷成立後,日本最大の大仙陵古墳(仁徳天皇陵古墳)をはじめ,100数基から成る百舌鳥(もず)古墳群が造られました.これら古墳群は2019年に大阪初の世界文化遺産に登録されております.大阪労災病院はこの大仙陵古墳の約1.5 km東に立地する病院です.開設は1962年4月で,大阪の工業地帯において多発する労働災害に対応するため,全国で27番目の労災病院として10診療科,512床でスタートしました.その後,地域の発展とともに施設・診療体制の拡充を行い,現在は29診療科,678床,医師数187名で運営しております.当院は,人口約84万人の堺市二次医療圏をカバーする地域中核病院で,2002年に地域がん診療連携拠点病院の指定を受け,2020年には高度型の承認を取得しています.また2011年には地域医療支援病院の承認を受けています.近隣施設の増改築が順次進むなか,当院は堺市二次医療圏で唯一残る超老朽化施設となっておりましたが,ようやく新病院建築が開始されました.当院の敷地は元陸軍練兵場の一部であったこともあり,新病院はゆったりとした敷地内に現病院に隣接した場所に建設中で,2022年1月にはオープンする予定となっています.
外科の診療体制は,今年度念願の呼吸器外科を開設し,現在スタッフ15人,外科専攻医4人の総勢19人で呼吸器・消化器・乳腺領域の外科治療にあたっています.2019年の手術件数は消化器領域1,041例,乳腺領域161例でした.各疾患(呼吸器外科・上部消化管外科・下部消化管外科・肝胆膵外科・乳腺外科)担当部長を中心に,救急対応や集学的治療をチームとして実践できるよう,垣根のない横の繋がりを重視したグループの形成に努めています.他科・他職種とはキャンサーボード・内視鏡カンファ・肝胆膵カンファを毎週開催し連携を深めています.学術的には,近年各学会・研究会において英語で発表する機会が増えてきたこともあり,英語での抄読会を週1回行っています.オヤジ世代を中心にヘンテコな英語を使い,若い先生方を混乱させる討論になっているようですが,楽しい時間でもあります.
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