増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル
Ⅲ章 術式別の術前・術中・術後管理
肝
大量肝切除・二期的肝切除
小暮 正晴
1
,
松木 亮太
1
,
中里 徹矢
1
,
鈴木 裕
1
,
森 俊幸
1
,
阪本 良弘
1
Masaharu KOGURE
1
1杏林大学医学部肝胆膵外科
pp.158-162
発行日 2019年10月22日
Published Date 2019/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212686
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術前評価
●適応
2区域以上の大量肝切除は,大きな肝腫瘍や肝中央部に位置し主要脈管に浸潤・固着する腫瘍,門脈一次分枝に腫瘍栓を伴う肝腫瘍,多発の転移性肝癌,肝門部領域胆管癌,肝門部へ浸潤した胆囊癌や肝内胆管癌などに適応となる.大腸癌の両葉多発転移に対しては,肝実質をできる限り残すparenchymal-sparing hepatectomyがoncologicalには有利であるが1),場合により2区域以上の肝切除が必要となることがある.
このように2区域以上の肝切除を一期的に行うと肝切除量が過大となり,術後の肝不全が懸念される場合には,一般に門脈塞栓術を術前に施行し,2週間以上の待機期間を経て,切除予定肝の縮小と温存予定肝の再生肥大の後に根治的肝切除を行う.右肝切除を伴う肝門部領域胆管癌の切除では,全肝比率で40%以上の予定残肝(future liver remnant:FLR)容量を確保するために,原則として門脈右枝の門脈塞栓術(portal vein embolization:PVE)を施行する2).あるいは,両葉多発肝転移症例でPVE後に一期的に左肝の腫瘍の切除と右肝切除を併施することも可能である.
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