FOCUS
肝細胞癌に対する化学療法の新展開
和田 幸之
1
,
高見 裕子
1
,
龍 知記
1
,
才津 秀樹
1
Yoshiyuki WADA
1
1国立病院機構九州医療センター肝胆膵外科・臨床研究センター
pp.358-362
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212411
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
進行肝細胞癌に対する全身治療薬として,それまでの制癌剤と作用機序が異なる分子標的治療薬(TKI)ソラフェニブが2009年6月に本邦で承認を受け,華々しく登場した.しかし,奏効率は2〜3.3%1,2)と高くないにもかかわらず有意な生存延長をきたすlong SDを主な特徴とした薬剤であり,実臨床において効果が実感しにくい薬剤であった.その後,ソラフェニブに続く薬剤の臨床試験が試みられたが,いずれも主要評価項目を達成できず,10年弱の間ソラフェニブに続く薬剤は登場してこなかった.2016年にソラフェニブ不応例に対する二次治療薬としてレゴラフェニブが生存延長効果を証明し3),さらに2017年にはREFLECT試験により一次治療薬としてレンバチニブがソラフェニブに対して生存の非劣性を証明し4),2018年3月に本邦で承認された.さらに,2018年にはソラフェニブ不応後の二次治療薬として,カボザンチニブ5),ラムシルマブ6)の予後延長効果が証明された.
近い将来,本邦においても5つのTKIが肝細胞癌に対して使用できる可能性があり,肝細胞癌の化学療法はめまぐるしく変化してきている.さらに,最近非常に注目を浴びている免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験も進んでおり,近々その結果が待たれるところである.近い将来,肝細胞癌の化学療法において多数の治療薬が使用できる可能性があり,各薬剤をどのように使い分けていくかが今後の課題であり,それぞれの薬剤の特徴を十分理解しておく必要がある.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.