FOCUS
肝細胞癌治療の新展開
八木 宏平
1,2
,
島田 周
1
,
下川 雅弘
1
,
谷合 智彦
1
,
赤星 径一
2
,
田邉 稔
2
,
田中 真二
1
Kouhei YAGI
1,2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子腫瘍医学分野
2東京医科歯科大学肝胆膵外科学分野
pp.1292-1300
発行日 2021年10月20日
Published Date 2021/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213474
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はじめに
わが国において肝癌は全癌腫で死亡数第5位,5年生存率は36%程度と予後不良な疾患であり,より良好な治療法の進展が切望されている1).肝細胞癌の危険因子としてB型肝炎ウイルス(HBV)あるいはC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染による慢性ウイルス肝炎,アルコール性肝炎,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などがある2).全世界ではHBV,HCVに対する抗ウイルス治療によりウイルス性肝癌の割合が減少すると予想されているが,NAFLD/NASHを背景とする肝細胞癌の発生率は増加傾向にあり,例えば米国では2016年から2030年の間に122%増加し,5,510例から12,240例になると推定されている3).このように肝細胞癌の背景疾患は変遷しつつあるが,免疫チェックポイント阻害剤の登場により急速に進歩を遂げる治療方針について,常にアップデートすることが必要である.
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