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あとがき
瀬戸 泰之
pp.256-256
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211956
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筆者が医師になりたての頃は(約30年前),診断学は内科,治療学が外科という誰もが認める区分けがあった.今回の特集を一読すると,「今昔の感」とはこのようなことの例えであろうと実感する.まったくボーダーレスであり,昔は外科治療の対象になった疾患が,いまやendoscopic interventionの対象となっている.内視鏡による治療がここまで到達しているのかと驚愕してしまう.昔話ばかりで申し訳ないが,筆者が若いころは外科医も内視鏡を持ったものである.上部消化管内視鏡を週20〜30件行っていたこともあるし,内視鏡治療の黎明期も体験し,実際行っていた.これだけ専門化してしまうと,あの当時のように内視鏡も手術も達人になるというわけにはいかないことも理解できる.しかしながら,それはそれで利点もあったものと思う.両者を知り,実際に行っている強みである.それぞれの長所,欠点を知り,患者さんへの説明も容易であった.今は,疾患はボーダーレスとなったが,医師間にはボーダーができてしまった感じである.少なくとも,外科医はendoscopic interventionで何ができるかを知っておく必要があるし,その長所を活かさなければならない.その意味でも本特集をぜひ熟読していただきたい.昨今,新たな専門医制度が始まり,消化器の専門医も内科系,外科系に分かれることが予想されている.これまで以上に内科,外科の垣根が高くなってしまうのではという危惧を感じているが,そのような時だからこそ,互いの領域で何が行われているかを知る姿勢は大切であろうと思う.
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