昨日の患者
崩れる自慢の父親像
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.332
発行日 2017年10月22日
Published Date 2017/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211831
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- 文献概要
娘にとって父親は身近な異性であり,反発しながらも将来の伴侶の理想像でもある.しかしながら認知障害で性格まで変貌し,父親とのかかわり方に戸惑う娘さんを紹介する.
Kさんは70歳代後半の元胃癌患者で,娘さんが病院の事務職員として勤めていることもあり,私が10年ほど前に胃を切除した.そして術後は,しばしば外来を受診しては趣味の盆栽の苦労,町内会の仲間との旅行,さらには孫達の成長などについて,嬉々と語ったものである.その内に外来受診が途絶えたが,病状が安定していると思い,とくに意にも留めなかった.たまたま娘さんとの会話で,その後のKさんについて知ることになった.
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