昨日の患者
父親と娘
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.352
発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102061
- 販売していません
- 文献概要
手術室の看護師さんであるEさんから相談を持ちかけられた.聞くと,父親が10日前から近くの病院に急性胆囊炎で入院しているとのことであった.腹痛や発熱があり,絶食が続いており,大変心配である.父親に付き添いたいが,仕事があり満足に付き添うこともできないため,当院に転院させたい.しかし,熱心に治療してくれている担当医に遠慮して,転院を切り出せなくて悩んでいるとのことであった.
たまたまその病院の副院長が私の同級生であったため,彼に事情を話した.彼は快諾し,主治医に転院についての話をしてくれるとともに,Eさんのお父さんを見舞ってもくれた.早速,転院手続きがなされ,転院当日に緊急手術を行った.手術室には看護師であるEさんが付き添い,本来の業務である点滴ラインの確保,挿管の助手,導尿を行った.さらに手術での器械出しを希望し,手を洗い手術衣を着服した.手術は炎症のため苦労はしたが,Eさんは取り乱すこともなくそつなく業務をこなした.そして,手術終了後は病室で娘としての介護に勤しんだ.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.