ひとやすみ・37
父親の背中
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1199
発行日 2008年9月20日
Published Date 2008/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102252
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- 文献概要
息子にとっての父親は最も身近に存在する人生の先輩ではあるが,煙たい存在でもある.しかし,息子は反発しながらも,父親の背中を見ながら成長する.恐縮ながら,今回は自分の3人の愚息について述べたい.
長男が将来何をしたいかを知らされたのは,高校3年の夏の三者面談であった.理数系の進学コースを選択していたため,医学部受験を予測していなかったわけではなかった.しかし,息子の学力を考慮すると,合格は到底無理と考えていた.だが,息子はこれから頑張れば合格できると決意を述べた.父親として同じ職業を選択する子供を嬉しく感じたが,医学部受験の厳しさを知るだけに子供が挫折することを危惧した.ただ温かく見守るだけであった.一浪はしたが,幸運にも某私立大学医学部に入学できた.そして,相談はされなかったが,外科研修医になった.しかし,後期研修には眼科を選択した.外科医の私は他科と比較して労働環境が過酷であることを熟知しているがゆえに,寂しさを感じながらもあえて反対はしなかった.
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