1200字通信・110
Festina Lente
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.175
発行日 2017年10月22日
Published Date 2017/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211807
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“Festina Lente”は「悠々として急げ」と訳され,作家の開高健さんなどもよく引用された言葉として紹介されていますが,医学関係の講演会などでも耳にする言葉ですので,ご存じの方も多いのではないでしょうか.
この言葉は,ローマの初代皇帝,アウグストゥス〔現在は,August(8月)としてその名を残しています〕の座右の銘の一つであったと言われています.一般にはラテン語として知られていますが,スエトニウス著の「ローマ皇帝伝」のなかでは“speude bradeos”とギリシャ語で書かれていたそうです.当時のローマでは,ギリシャ語が国際語として第一等の地位を占めていたため,今の日本で子供に英語を学ばせるように,貴族や知識人は子供のころからギリシャ語の教育を受けていたそうで,スエトニウスもそれに倣ったようです.私が,この言葉を初めて耳にしたのは,日本消化器内視鏡学会の重鎮であった故・竹本忠良先生の記念講演でのことであったと記憶していますが,目から鱗が落ちた気がしたことを覚えています.
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