増刊号 手術ステップごとに理解する—標準術式アトラス
5 肝臓
亜区域以下の切除・肝区画切除—(cone unit resection)
片桐 聡
1
Satoshi KATAGIRI
1
1東京女子医科大学八千代医療センター消化器外科
pp.216-221
発行日 2017年10月22日
Published Date 2017/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211814
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Step1
手術概念の理解と切除シミュレーションの構築
①肝硬変合併肝細胞癌の外科治療において,肝予備能低下から亜区域よりも小さな単位での切除が要求されることがある.亜区域よりも小さい切除,いわゆる区画切除(cone unit resection)がこれにあたる.小さな切除範囲とはなるが,れっきとした系統切除であり,部分切除とは一線を画する.
②区画切除を理解するにはグリソン鞘の解剖が重要である.胆管,門脈,動脈は一束となった結合織に包まれグリソン鞘となり,肝内に進入・分岐し,小葉類洞内まで達している.本幹は肝門部で左右一次分枝となり,左枝は尾状葉枝を出したあとに二次分枝の左葉枝に移行する.右枝は肝内進入直前で2本の二次分枝(前区域枝と後区域枝)に分岐する.よって肝内には3本の二次分枝グリソン鞘がある(図1a).これら二次分枝グリソン鞘を幹として7〜8本の三次分枝が肝内末梢に向かい分岐している1)(図1b).この三次分枝グリソン鞘枝を処理する手術が,区域切除よりも小さな単位での系統的肝切除となる.1本の三次分枝グリソン鞘の分布領域を1つの区画単位として取り扱い,何本処理するかで切除範囲の決定を行う.このようなグリソン単位の分岐形態を考え,高崎ら2)は区画切除(cone unit resection)という言葉で表した(図1c).
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