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あとがき
桑野 博行
pp.662-662
発行日 2015年5月20日
Published Date 2015/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210769
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外科学の最近の発展は目覚ましいものがあることは衆目の一致するところである.外科治療においては,鏡視下手術に代表される,所謂「低侵襲手術」の進歩は患者のQOLに大きく寄与している.しかしながら,「外科治療」というものは,いかに「低侵襲」であるとしても,何らかの,幾許かの負担を生体にもたらすこともまた事実である.
外科手術は,例えばがんに対する根治性などを目的とする一方で,その手段たる治療は可能な範囲で「低侵襲化」を図ることが求められており,その客観的指標としての予後や患者QOLの面からの評価がなされている.確かにこれは外科学の一義的目的であり「王道」であると考えられる.しかしまた一方で,「外科学」を通した「医学」の発展には,その多少を問わず外科による「侵襲」や「臓器切除」によって,その「欠損」から浮かび上がってくる「真実」からもたらされた数々の輝かしい研究成果が大きく寄与していることも真実である.
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