特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
膵臓癌治療のプロトコール—神戸大学医学部第1外科
奥村 修一
1
,
斉藤 洋一
1
Shuichi OKUMURA
1
,
Yoichi SAITOH
1
1神戸大学医学部第1外科
pp.939-946
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209732
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はじめに
近年の診断学の進歩と消化器悪性疾患に対する根治手術の概念の普及により,胃癌をはじめとする悪性疾患の治療成績は著しく進歩してきた.しかし,膵癌は他の消化器外科疾患に比べて,切除率,手術直接成績,遠隔成績のいずれにおいても良好とはいえず,いまだに診断される大多数は進行癌であり,高度のリンパ節転移や血管侵襲のため根治手術を行える症例は数少ないのが現状である.また手術についても1935年Whipple以来,膵頭十二指腸切除術,体尾部切除術,膵全摘術,拡大膵全摘術など臨床治験にもとづく数多くの創意工夫や研究がみられているが,いまだ十分な成績を得ず,消化器悪性疾患の中では現在最も予後の悪い疾患の一つであるといえる.
従つて,膵癌治療成績の向上には早期発見への努力はもちろんであるが,大多数を占める進行癌に対する有効な治療方針の確立を行わねばならない.
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