特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
食道癌治療のプロトコール—岩手医科大学第1外科
石田 薫
1
,
村上 弘治
1
Kaoru ISHIDA
1
,
Kohji MURAKAMI
1
1岩手医科大学第1外科
pp.741-749
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209705
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はじめに
食道癌の治療において早期発見,早期治療が遠隔成績の向上につながることはいうまでもないが,現状はいまだに進行癌を取り扱うことが多い.表1に1979年10月から1986年5月まで教室で経験した食道癌切除例の進行度別内訳を示したが,いずれの占居部位でもstageⅢ,Ⅳの進行癌が多く,全体の74.5%を占めている.しかも食道癌患者は他の消化器癌患者と比べ高齢者が多く各種臓器の機能的予備力が低下している症例がほとんどである.また食道癌は,食道が解剖学的に重要臓器と隣接しているため癌腫が進行すると容易にこれら臓器に浸潤するほか,頸部,胸部.腹部と3領域にまたがるリンパ行性転移や跳躍性転移を生じやすいという特徴がある.これら因子が重なつて食道癌治療を困難とさせているが,食道癌患者と接した場合,最初に要求されることは患者の全身状態と癌の進行度の正確な把握である.また治療に際しては現在 手術療法が第一選択であるが,術前後を通じての放射線療法,免疫化学療法,温熱療法などを組み合わせた癌の集学的治療を行うことが必要と考えている.本稿では,われわれの教室の食道癌治療の基本方針と,これまでの治療成績を述べて見たい.
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