特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
膵臓癌治療のプロトコール—東北大学医学部第1外科
松野 正紀
1
,
佐藤 寿雄
1
Seiki MATSUNO
1
,
Toshio SATO
1
1東北大学医学部第1外科
pp.914-920
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209729
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はじめに
各種診断技術の開発,進歩により膵癌の診断能は著しく向上した.直径2cm以下の,いわゆる小膵癌も全国集計がなされるほど数多く発見されるようになり,これら小膵癌例の成績も検討されつつある.しかしながら,その治療成績は,積極的な外科治療にもかかわらず,比較的長期生存が期待できるのは今のところ膵癌全体のわずか4%前後を占めるT1症例のみで,T2以上となると3年生存率は20%にとどまつている1).決め手となる治療法がまだ確立されていない現在,拡大切除を行つて切除率を高めても,切除術のみでは根治不可能な症例が多く存在するとの反省に立つて,教室では外科療法に追加して各種補助療法を行うようになつた.すなわち,膵癌は発見された時点ですでにadvancedであるとの認識の上に立つて,切除術のみに頼ることなく,術前,術中,術後を通して,放射線療法,化学療法,免疫療法,温熱療法などを組み合わせて強力に治療を行おうとするものである.本稿では,自験例から明らかにされた膵癌の特性に立脚した,現在著者らが行つている膵癌の治療体系について述べる.
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