カラーグラフ・5
高アミラーゼ血症ならびに胃外性圧排像により発見された粘液産生性膵体部早期癌
高木 國夫
1
,
竹腰 隆男
2
,
大橋 計彦
2
,
丸山 雅一
2
1癌研究会附属病院外科
2癌研究会附属病院内科
pp.881-885
発行日 1982年6月20日
Published Date 1982/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208049
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膵癌の治療成績は,きわめて不良であつて,予後不良な膵癌の治療成績の向上には,何をおいても,癌が膵内に限局し,転移をみとめない切除可能な膵癌を発見して,治療することで,癌の治療の原則—早期発見・早期治療も膵癌にあてはまることである.近年の膵診断技術の進歩は目覚しいものがあるが,膵癌の早期診断はきわめて困難であつた.近年,膵癌の早期診断に努力がなされ,直径2cm以下の小膵癌が報告されて来ている.われわれも,膵癌の早期診断に努力し,直径2cm以下の小膵癌の分析ならびに膵癌の新しいERCP分類(本誌1月号に掲載)により,膵癌の早期発見のスクリーニングに,血清,尿アミラーゼ高値例,胃外性圧排像(本誌3月号),ならびに超音波検査による主膵管の拡張(本誌2月号)が有効であることを報告した.
膵癌と一括して言われた場合,Ductal Carcinomaが大部分であるが,われわれのERCP分類の中でⅢ型は粘液産生性の主膵管内癌であつて,切除率も75%と高く,4例中3例は病変が膵内に限局し,転移をみとめない早期膵癌であつた.術後2年以内であるが再発をみとめていない.
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