カラーグラフ・4
高アミラーゼ血症で発見され,胃体部の胃外性圧排像を呈した無黄疸の膵頭部癌
高木 國夫
1
,
竹腰 隆男
2
,
大橋 計彦
2
,
丸山 雅一
2
1癌研究会附属病院外科
2癌研究会附属病院内科
pp.451-456
発行日 1982年4月20日
Published Date 1982/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207925
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胃と膵とは密接な関連を有し,前回は膵体部癌による胃外性圧排像を呈した症例を供覧したが,この胃外性圧排像は膵体尾部に発生した癌による所見であつて,診断困難な膵体部癌のひろいあげに有用である.しかし,この腎外性圧排像は,膵体尾部癌のみでなく,膵頭部癌においても認められている.膵頭部癌では,十二指腸あるいは,胃下部に変化がおこるのは当然であるが,膵頭部に病変がありながら,十二指腸や胃下部に変化をみないで,胃体部に胃外性圧排像がみとめられる点は,両者がはなれているのに,一見奇異に感ぜられる.膵頭部癌と胃体部の胃外性圧排像との間には密接な関連がある.膵頭部の癌発生により,主膵管の狭窄や閉塞がおこり,病巣より末梢膵の主膵管の拡張とともに,膵組織の萎縮,それにひきつづいておこる線維症,すなわち癌による主膵管の狭窄や閉塞にもとづく末梢膵の二次的膵炎により,胃体部小彎や大彎に胃外性圧排像が発生するわけであり,また膵体尾部に発生した慢性膵炎によつても同様の所見が見出されるものである.胃体部の胃外性圧排像は,膵体尾部癌そのものによるのみでなく,膵頭部癌の二次的膵炎や,膵体尾部の慢性膵炎によつても起こりえるものであり,膵の異常をチェックするに当り,アミラーゼ値の上昇とともに,胃X線検査時の胃外性圧排所見が有用であることを示している.
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