- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
副腎外科の対象となる主たる疾患は
1.褐色細胞腫Pheochromocytoma 2.クッシング症候群Cushing's Syndrome 3.原発性アルドステロン症Primary Aldosteronism(Conn's syndrome) 4.内分泌非活性副腎腫瘍 5.進行乳癌である.一方,副腎の外科において,その到達法には
1.後腹膜的到達法(extraperitoneal route) 2.経胸腔的到達法transthoracic route) 3.経腹腔的到達法(transperitoneal route)がある1,2).著者等は原発性アルドステロン症の如く片側性で小さい腺腫の場合,部位診断がついていれば,後腹膜的到達法posterior approachをとるが,それ以外は経腹腔的到達法anterior approachで行なつている.体型が肥満型であつたり,腫瘍が大きいことが予測されている時は横切開transverse-elliptical incisionで行ない,進行乳癌に対する如くほぼ正常に近い副腎を摘出する場合,体型がやせていれば上腹部正中切開で行なつている.後腹膜的到達法では副損傷として胸膜損傷があり得るので術後,胸部X線を要する.経腹腔的にしろ後腹膜的到達法にしろ,副腎摘出時の静脈系の処置,止血を確実に行なう必要がある.以上のことを除くと,副腎外科の術後管理のむずかしさは種々のホルモンの病的過剰状態から摘出術という手段をもつてホルモンの欠落状態への急激な移行であり,疾患により変動するホルモンの種類が異なるので,術後管理の方法が異なつている点である.従つて,各疾患を熟知すると共に,術前の検査で患者の状態を十分把握し,摘出後の予想される状態もよく知つておくことと欠落症状の出現以前にあらかじめ対策を講ずることが肝要である.以下,各疾患別に術後管理の要点を述べる.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.