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特集 膵癌と膵頭十二指腸切除術
膵癌に対する手術術式の選択
手術適期の判定
Curable stage of pancreatic cancer
尾崎 秀雄
1
Hideo OZAKI
1
1国立がんセンター外科
pp.471-476
発行日 1980年4月20日
Published Date 1980/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207411
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はじめに
膵癌に対する手術の適期は,遠隔成績よりre—trospectiveにみた判定基準があり,また,検査成績を考慮した術前における判定,開腹時所見にもとづく術中の判定がある.あるStageの膵癌患者をどのように扱うべきであるかは,きわめて主観的な問題(術者の)で,消極的な意見から積極的な意見まであるが,大部分の外科医たちは,予後不良のこの疾患に対して悲観的な立場で考えている.
Crile1)は膵癌に対する膵頭十二指腸切除は予後不良である上に,手術死亡の高率である点を強調して本術式の適応を否定し,Childら2,3)は,本術式の姑息的手術としての意義を強調すると共に,時に5年生存例を見ると述べている.Mongé4)は根治手術術式としてはもちろん,さらにたとえ再発するにしても姑息期間の延長という意味で捉え,ReMineら5)は膵全摘術こそ膵癌に対する根治手術として推奨している.しかし,膵癌における5年生存の成績は,いずれにしても良好でない6)(表1).
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