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特集 今日の救急
腹部劇痛と開腹手術の判定基準
Indication of laparotomy for severe abdominal pain cases
古味 信彦
1
Nobuhiko KOMI
1
1徳島大学医学部第1外科
pp.197-204
発行日 1973年2月20日
Published Date 1973/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205746
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はじめに
腹部劇痛を主訴とする疾患は通常急性腹症と総称されるが,疾患の種類は極めて雑多であり,緊急に開腹手術を行なう必要があるかどうかを決定しなければならない.もし開腹手術はどのようなときにするのかについて,その判定基準があれば誠に有用ではある.しかし結論からいつてその様に雑多な疾患に画一的に適用できる開腹手術の判定基準はない.もしそれらを列挙しても常識的な概念的なものにならざるをえない.これがまた急性腹症つまり腹部劇痛を主訴とする疾患の特徴であり,症例毎に検討して臨機応変の処置をする必要があり,有能な外科医とそうでない者との判断の良し悪しが判然と結果に現われるものである.
さて急性腹症とは一体どのような疾患であるかについて考えてみたい.例えば胃・十二指腸潰瘍が穿孔して腹部劇痛のある場合は,緊急開腹手術の対象となる.このような例では既往歴,現病歴,過去の愁訴のある度毎に行なわれたであろう検査成績,現在の症状,知りえた現在行なわれた緊急検査成績例えば気腹像などから消化性潰瘍の穿孔と術前に診断がつく.
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