追悼
大槻菊男先生
木本 誠二
1,2
,
石川 浩一
1,3
,
林田 健男
1,4
1東大
2三井記念病院
3関東労災病院
4杏林大
pp.355-359
発行日 1977年3月20日
Published Date 1977/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206702
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大槻先生の思い出 慈父に接する心地
謹んで大槻菊男先生の御逝去をお悼み申上げます.私は先生の直系の門下生ではありませんので,外科については学生時代を除いて直接教えを受けたことはありませんが,教室なり私個人のことなどでは何かと先生の御教導を頂きました.その意味で私にとつてはやはり大槻先生は私の師であり,直系の塩田,都築,福田三先生亡きあと,今また最後の師と仰ぐ大槻先生が亡くなられたことは,言い知れぬ寂しさが身に迫るのであります.
先生は青山徹蔵先生の後任として東大分院の助教授から転任され,たまたま塩田先生の後任となられて間もない都築先生と並んで,大槻・都築両外科の時代が長く続きました.弁説爽やかですべての面で華麗な都築先生に対し,大槻先生の誠に穏やかでじみなお人柄は正に対照的でした.戦後都築先生がパージで退職されてから暫くの間,第二外科の教室は大槻先生と助教授であつた私とで講座分担を命ぜられ,その間何彼と御指示を頂きました.まだ40歳にもならない若い私に,大教室を纒めることは容易でなく,福田先生が着任されるまでの間を何とか無事に切抜けられたのも,陰に陽に力添えを頂いた大槻先生のお蔭だと思つております.
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