カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・20
十二指腸乳頭部癌
大井 至
1
,
佐久間 隆
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.294-295
発行日 1977年3月20日
Published Date 1977/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206693
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十二指腸乳頭部癌は,独特な症状を呈することが多く,また手術成績も良好であるため以前から注目を浴びてきた.十二指腸乳頭は膵管と胆管の共通の開口部であり,この部位の癌腫はいわゆる膨大部粘膜だけではなく,乳頭を覆う十二指腸粘膜,膵符上皮,総胆管末端上皮などからも発生すると考えられる.このため,乳頭部癌は,膨大部癌,膨大部領域癌,総胆管末端癌など色々の名称で呼ばれてきた.われわれは内視鏡の立場からこの部位の癌腫を十二指腸乳頭部癌として一括して取扱い,それを内視鏡像の特徴より4型に分類している.
乳頭部癌の内視鏡的特徴は,乳頭部に限局した腫瘍であるの一言につきる.乳頭自体が腫瘍であり,乳頭の構造は破壊され,潰瘍形成やビランをみる.膵頭部癌とは異なり,乳頭部以外の十二指腸粘膜の伸展が良好であることも特徴的である.
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