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付帯研究3
がん患者の介護者の介護中の離職および死亡
松坂早希子⁎
⁎東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士後期課程
はじめに
毎日病院に面会にくる家族や,退院後の家族がどのような生活をしているのか気がかりに感じたことはないだろうか.
終末期がん患者の療養に伴う社会・経済的問題には,家族の就労への影響がある.家族は患者の介護負担が増えることにより,欠勤が増えるなど収入低下から経済的負担の増大,離職,社会からの孤立につながりうる1).また,身体的および精神的影響もある.介護者のセルフケアや健康行動が減少することで,脳・心血管疾患につながるリスクがある2,3).このように,家族には多くの問題がとりまいているにもかかわらず,介護中の離職や死亡に関する研究はほとんどない.
付帯研究35
在宅ホスピス・緩和ケアにおける介護度別での家族介護者の介護負担感と訪問看護利用状況およびケア利用満足度
大槻奈緒子⁎1,山本 陵平⁎2
⁎1大阪公立大学看護学部地域包括ケア科学分野,⁎2大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター
はじめに
在宅療養を送るがん患者の家族介護者の介護負担は,古くから問題視されている1).在宅がん患者の残存機能の低下や長時間の介護は,家族介護者の介護負担を増大させるといわれており2),医療・介護福祉サービスの工夫により,これまでさまざまな対応が講じられてきた.一方で,近年のがん治療や支持療法のめまぐるしい発展により,在院日数の短縮化や外来治療が一般化しており,積極的ながん治療を行いながら在宅療養しているがん患者は珍しくなく,従来の介護負担に加え,医療依存を伴う介護問題が課題となっている.在宅がん患者の介護負担は,決して古い問題ではなく,医療や介護の発展とともに,日々新たな問題として認識することが支援者にとって重要である.
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