Japanese
English
薬剤
体外循環開心術後並びに出血性ショック時の血清酵素値の意義
Alteration of serum β-glucuronidase and amylase in hemorrhagic shock and cardiopulmonary bypass
小林 稔
1
,
江口 昭治
1
,
田中 誠
2,3
,
吉野 武
2,3
,
鷲尾 正彦
1
,
浅野 献一
1
Minoru KOBAYASHI
1
1山形大学医学部第2外科
2立川心臓血圧センター
3新潟大学医学部第2外科
pp.273-279
発行日 1977年2月20日
Published Date 1977/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206691
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はじめに
体外循環はいわばショック類似状態,あるいはcont—rolled shock1)ともいえる状態である.細胞のアノキシアが誘発され,lysosome膜の損傷,破壊,その結果蛋白融解酵素であるacid phosphatase, cathepsin,β—glucuronidaseなどの細胞外遊出が起こるとされている2).一方,体外循環開心術における高アミラーゼ血症は1968年HortonやHarjolaによつて報告され,その後もPanebianco5)によつても報告されている.これらの報告によれば,その上昇原因を開心術中のストレス状態による腹部合併症発生の為とし,あくまでも膵臓そのものの傷害による術後膵炎の発生という観点に止まつている.しかし著者等が既に報告6,7)したごとく,アミラーゼ・アイソザイムの検索によれば,そのアミラーゼ上昇由来臓器に関しては,膵臓よりも,むしろ唾液腺由来のアミラーゼ上昇が著しいと言う結果が得られた.一方,この高アミラーゼ血症の程度は全身の生体侵襲の重度を示すものと考えられ,生体侵襲の程度判定として,β-glucuro-nidase (以後β-Gと略記)と共にアミラーゼ測定の有用性が認められた.今回,動物実験並びに臨床例において生体への影響を追求し,また侵襲に対する生体に及ぼされる影響を軽減すると思われるステロイド大量投与〔hydrocortisone (Solu-Cortef) methylprednisolone(Solu-Medrol)〕の実験的並びに臨床的研究を併せ行なつたので若干の考察を加え報告する.
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