追悼
浜口栄祐先生を偲んで
木村 信良
1
1東京医科歯科大学第2外科
pp.280-281
発行日 1977年2月20日
Published Date 1977/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206692
- 有料閲覧
- 文献概要
浜口栄祐先生は昭和51年11月13日(土)午後0時24分,腎臓腫瘍で,東京医科歯科大学付属病院で永眠されました.享年67歳,御逝去を心より御哀悼申し上げます.
先生は明治42年,いまの伊勢市にお生まれになり中学3年の時に東京府立三中に転校され,4修で一高へ,そして東京大学医学部を卒業されたのは昭和9年であります,卒業後は東大第1外科の青山徹蔵先生の教室に入られ,次いで大槻菊男先生の下で,外科学を学ばれました.当時は世界情勢も不穏で,一時はハルビン大学の講師として渡満されたり,また第2次大戦中は応召され津の陸軍病院に勤務され陸軍軍医大尉で終戦となり,再び大学に帰られ,腸管運動の研究をされ学位をとられました.昭和23年には国立東京第一病院(現在の国立医療センター)の外科医長に迎えられ,戦後の混沌とした環境の中で,先生を慕つて集まつた若いひとびとと一緒になつて着々と医局を作られ,この時期にも多くの立派な業績を発表されました.先生は時々この頃を憶い出されては,「あの頃は本当に愉しく,思い出も多いね.物は不自由だつたが.」と口にされておられました.当時40歳の先生が周囲に煩わされることの少なく十分に活動できた時期と思われます.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.