今月の臨床 Obstetrics is a bloody business
分娩時出血への対応
2.出血性ショックの特徴
石川 睦男
1
,
玉手 健一
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.665-669
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904349
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プライマリケアとしての出血性ショック
ショックとは,心血管系の機能不全のため血圧の急激な低下と組織循環の障害を起こし,それによる種々の症状を呈する症候群であり,表1に示すように種々の原因によってその病態は異なる.出血性ショックはこのうち低循環血液量性ショックhypovolemic shockの中に定義される.さらに出血性ショックを起こしうる病態としては表2に挙げるものが考えられる.
出血性ショックが疑われる症例に対応する際に行うべきことは,ショックの診断,バイタルサインの継続的な測定,補液,止血であり(表3),出血性ショックであると判断することがその後の対応,ひいては救命率に大きな影響を与えることとなる.救急車で出血性ショック症例が搬入される場合,事前に何らかの情報がもたらされることが多い.出血性ショックを起こしうる病態を想起させる症状,状況や既往歴であり,バイタルサインの異常である.このような情報が入手できた場合には表3に示す手順が速やかに行われるよう,事前の準備を再度確認すべきであろう.
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