手術手技
乳幼児鼠径ヘルニアの手術
秋山 洋
1
,
伝田 俊男
1
Hiroshi AKIYAMA
1
1国立小児病院外科
pp.111-118
発行日 1968年1月20日
Published Date 1968/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204504
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はじめに
現在,小児麻酔,外科手術および患者管理の向上に伴つて古くはオムツがとれてからまたは就学前に広く行なわれていた乳幼児鼠径ヘルニアに対して,新生児期をのぞいて発見後できうる限り早期に手術を行なうような方針に変つて来ている1)2)3)11).事実,われわれが,小児病院で手術を行なつた症例730例中6ヵ月未満18.0%,1年未満35.6%,2年未満になると60.5%を占め若年児の手術例が多くみられるようになつて来ている(第1表).乳幼児期のヘルニアは成人の場合とは異なり,鼠径管周囲の腹壁組織の萎縮によつておこる後天性のものではなく,先天性で胎生期の腹膜鞘状突起,女児ではNuck管の残存によるものであり,その手術法は同じ鼠径ヘルニアでも成人の場合と異なり,手術の主体はヘルニア嚢の高位結紮にあり,鼠径管形成は従と考えるべきである.
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