特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅴ.腹部・腰部
61.鼠径ヘルニア(鼠径部ヘルニア)
冲永 功太
1
,
稲葉 毅
1
,
福島 亮治
1
Kota OKINAGA
1
1帝京大学医学部外科
pp.200-201
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100837
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疾患の概念
ヘルニアは,臓器または組織が先天性あるいは後天性の裂孔を通じて,その本来の存在する部位から脱出する状態である.ヘルニアは,ヘルニア脱出の出口である「門」と,脱出する「内容」,およびこの内容を包む「【嚢】」から構成されている.本稿では,成人鼠径ヘルニアについて述べる.
鼠径ヘルニアは,鼠径部にヘルニア門を有するヘルニアであり,一般に大腿ヘルニアを含めて鼠径部ヘルニアと総称される.ヘルニア門によって,(1)外鼠径ヘルニア(間接ヘルニア),(2)内鼠径ヘルニア(直接ヘルニア),(3)大腿ヘルニアに分類される.外鼠径ヘルニアは,内鼠径輪(下腹壁動脈の外側)をヘルニア門とし,内鼠径ヘルニアは,鼠径管後壁のHesselbach三角(下腹壁動脈の内側)から脱出し,大腿ヘルニアは大腿輪をヘルニア門とする(図).
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