Japanese
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特集 鼠径ヘルニアの診療
女児鼠径ヘルニアの特徴と治療
Female inguinal hernia in infants and children
秋山 洋
1
,
高松 英夫
1
,
野口 啓幸
1
,
田原 博幸
1
,
安達 康雄
1
Hiroshi AKIYAMA
1
1鹿児島大学附属病院小児外科
pp.1023-1028
発行日 1988年6月20日
Published Date 1988/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210102
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近年,小児外科の発展に伴い小児の鼠径ヘルニアに対して積極的に手術療法が行われるようになってきた.このためにかつて頻度が少ないといわれてきた女児鼠径ヘルニア症例が増加の傾向にあり,その発生頻度についてもほぼ男児と同頻度ではないかと推測される.女児鼠径ヘルニアは男児に比し右側よりも左側に多くみられ,また両側例が多いといわれている.また女児の消化器脱出による嵌頓症例は男児に比し少なく徒手整復も容易で緊急手術となる例は少ないが,滑脱型卵巣脱出例が若年児に頻度が高く,時に脱出卵巣が循環障害壊死に至ることもある.
女児鼠径ヘルニアの手術術式は基本的には男児鼠径ヘルニアと変わるものではなく,鼠径管の形成を必要としないPotts法が現在広く行われているが,ヘルニア嚢に接して存在する円靱帯の処理,卵管,卵巣を中心とした女性性器滑脱型ヘルニアに対する手術に特徴がある.
今回は鹿児島大学附属病院小児外科において3年8ヵ月間に経験した小児鼠径ヘルニア576例の経験例を中心にして,女児鼠径ヘルニアの特徴について考察を加えて報告する.
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