MEDICAL Notes
villous adenoma/燕麦細胞癌のカルチノイド症状
pp.686
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203982
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S結腸・直腸の絨毛状腺腫は高度の水様下痢便と共に電解質を失いショックを招くことがある.最近Solomon(J.A.M,A.194:5,1965)が自験2例を追加し,文献に36例,こういった症例を見いだす.その平均年齢は64歳で,愁訴継続期間は平均4.2年で,長いのは15年というのがある,水様下痢便あるいはrice water stool,copious rectal mucusなど,ときに出血があり,脱力・疲労・乏尿・低血圧・confusion・尿毒症・悪心嘔吐・dep-ression・ショックなどを末期には多少とも著明に呈してくる.脱水・電解質欠乏のために,副腎不全・喪塩性腎炎・尿毒症・Guillain-Barré・家族的周期的四肢麻痺などと誤認されることが少なくない.前には起立性低血圧が主症状であつた例がある.しかし腺腫は指診ないし直腸鏡で発見容易で,注意すれば見おとすはずはない.脱水のほかに,低Na血・低Cl血・低K血症,多くは低CO2血を伴い代謝性アシドージスで,低K血にもかかわらずアルカロージスにならぬ点も,本症の特色であろう.K1.5mEq/lでアルカロージスというのはSolo-mon第2例ぐらいでほかにない.36例のうち7例は手術前に,こうした物質欠乏のため死亡した.
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