他科の知識
内分泌疾患の内科的治療(1)
鳥飼 龍生
1
1東北大学医学部内科
pp.689-693
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203983
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はじめに
内分泌疾患には内科的治療で充分なものもあれば,外科的治療による他はないものもある.現在,だいたいにおいてこれら両者の区別ははつきりしている.たとえば内分泌腺機能亢進症のうち,内分泌腺の腫瘍によるものの場合には,診断がつきしだい,腫瘍の摘出を行なうことになる.これは,他の臓器の腫瘍の場合と同じである.しかし腫瘍でも,根治手術不能の場合には,止むを得ず内科的治療を行なうことがある.内分泌腺機能低下症に対しては,補充療法を行なう.現今,多くの内分泌腺において,そのホルモンを製剤として入手することができるようになつたので,補充療法も容易となつた.
問題となるのは,内分泌腺の過形成による機能亢進症の場合である.これに対しては現在のところ,外科的治療が重要視されているが,薬物療法あるいは放射線療法の効果もしだいに認められてきている.たとえばBasedow病やCushing病のごときである.しかもこれらの疾患は実地上,症例としては内分泌疾患の中で比較的に多いものである.また機能異常はなくても甲状腺の疾患では,近年外科的治療よりも内科的治療の方が奨められるようになつたものが2〜3ある.
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